20年以上前の話です。入試の1ヶ月前くらいになって受け持つことになった浪人生の女性の方がいました。
看護師志望の方で数学が必須だったにもかかわらず伸びないということで指導することになりました。
その方の家に伺うとお母様より「朝6時から夜中の11時まで食事する間も惜しむくらい勉強をしている頑張り屋なのです。」と紹介されました。
実際に指導するようになってしばらくすると、私は何かおかしい??何か変だ、と思うようになりました。
何が問題だったかというと、勉強に向かう姿勢はとても真面目だし何時間もやっていても苦にしないようでした。
ところが公式を間違って覚えていたり、真面目がゆえに計算を省略できなかったり、公式の使い方を知らない、解法がずれてしまう、などのことが随所に見られたのです。
それを見て私は頭を抱えました。
いくら一日中勉強していようとも仕方、やり方を間違えていたり、公式を使えなかったりと、効果も結果も得られません。
無駄を積み重ねても無駄でしかありません。
適切な公式を適切な方法で適切に使ってこそ、大事なことで、それが基本となるはずです。
その基本がしっかりしてないと入試などの応用はとても覚束ないということになります。
色々とその方といろいろと話をしていくと、彼女が行っていた予備校では、有名進学校から来た生徒にはベテランの優秀な先生が指導してくれていて質問にもしっかりとこたえてくれているようでしたが、彼女のような一般の高校からの生徒には若い先生が教えてくれているものの、説明もよくわからず、その上質問も受け付けてくれなかったそうでした。
勿論その予備校にも問題があったでしょうし、わからないまま1年間過ごした生徒たちも早めに手を打つべきだったとは思います。
1年間、時間もお金も無駄に過ごして結局得られるものはないということなのです。
残念ながらその方がその後どうされたのかは知る由もないのでわかりませんが、間違いに気づいて次の段階へ進めることが出来れば、良いと思います。
私もそれまでは失敗は成功の基と信じていました。
それは間違いではないのですが、今では確かな方法正しい指導があってこその成功だと思っています。
最近でもしっかりと理解できるはずの生徒が、どうしてそれまでできなかったかを考えると、それはそのひとにとって時期が合わなかった!やる気をおこしてこなかった!ということかもしれません。
やる気のあるなしでは雲泥の差があります。
同じことを伝えてもしっかりと本質まで吸収できるか、表面的にすら聞くことが出来ていないかの違いは思っている以上に大きいのです。
私がここでお伝えしたいのは時期、タイミングを逃さないで欲しい、ということ。
その方法、やり方をしっかりと基本から身に着けて欲しい、ということです。
でないと、成果は当然ながら上がっては来ません。
それが勉強する上での心構えですし、姿勢の一つだと思います。