近年、情報社会の進展に伴い、情報リテラシーの重要性が高まっています。
その流れを受け、2025年共通テストには新たな科目として情報Ⅰが加わります。
情報Ⅰは、以前までの「社会と情報」「情報の化学」が再構成された新しい科目です。
単にコンピューターの操作技術を習得するだけではなく、情報収集や分析、発信など、情報社会を生き抜くために必要なスキルを幅広く学ぶ科目です。
しかし、情報Ⅰはまだ始まったばかりの新科目で、学習内容も試験範囲もまだ多くの人が慣れていないというのが現状です。
そこで、この記事では、以下の内容について解説します。
- ・情報Ⅰの重要性
- ・各項目の特徴
- ・共通テストに向けた対策
- ・情報Ⅰで求められるスキル
情報Ⅰ対策に不安を感じている人は、ぜひ最後まで読んでください。
多くの大学で受験必須科目にされている
2025年の共通テストでは、国立大学の9割超が情報Ⅰを共通テスト必須科目として採用しています。
また、情報Ⅰが必須化する前に高校を卒業した受験生に配慮し、該当する受験生は旧過程である「社会と情報」「情報の科学」から出題されます。
例えば、東京大学や京都大学、大阪大学など多くの国公立大学では情報Ⅰが必須科目です。
東京大学では、情報Ⅰは必須ですが、旧教育過程履修者の場合は情報Ⅰに代えて旧情報を選択することができるとしています。
参照:東京大学 令和7(2025)年度東京大学入学者選抜(一般選抜)における 出題教科・科目等について〔予告・補遺〕
事前に志望大学の入試情報はチェックしておきましょう。
共通テストについて
情報Ⅰの共通テストは、試験時間60分、配点は100点です。
独立行政法人大学入試センターが公開した情報Ⅰの試作問題では、コンピュータとプログラミングの分野が配点の半分を占めました。
情報Ⅰは、中学数学と高校の数学Ⅰ・Aが学習の土台となりますが、大学入試で出題される問題にはこれらを理解していないと手を付けることすらできないものもあります。
いくらプログラミング的思考が身に付いていても、2進法やデータ活用など数学分野が苦手である場合は苦しい入試になります。
数学の内容に取りこぼしがないように、今からでも過去の数学の理解を確実にしておきましょう。
また、共通テストでは、情報Ⅰの各項目の内容を組み合わせたものが出題される可能性が非常に高いです。
苦手な項目は放置したりせず、どんな問題が来ても安心して解ける知識と自信を付けておきたいものです。
情報社会の問題解決
この項目は、道徳や公民のなかから情報分野に焦点をあて、より具体的に踏み込んだ内容になっています。
メディアリテラシーに関しては、日頃からスマートフォンやSNSに馴染みのある現代の若者にとっては比較的理解しやすい内容です。
情報Ⅰのなかでも難易度の低い項目ではありますが、内容や用語は一通り理解しておきましょう。
コミュニケーションと情報デザイン
名前からは想像がつきませんが、数学で勉強したことを情報に応用することを学ぶ項目です。
数学は、文字、音声、画像など全てのデータ表現に欠かせない要素であるため、避けて通れません。
10進法、2進法、16進法をコンピュータで利用したり読み解いたりするためには基数変換が必要です。2進法や16進法を必ず理解しておきましょう。
コンピュータとプログラミング
プログラミング的思考が特に要求される項目です。
論理回路やフローチャートに慣れておき、読み込みから理解、解答までの時間を短縮できるようにしておきましょう。
特に、論理回路は回路上の点を見落とすなどのケアレスミスに注意が必要です。
これらの他に、試験用のプログラミング言語を用いたプログラミング問題が出題されます。
プログラミング言語の丸暗記は不要ですが、日頃対策しているうちに慣れてくるものです。
演習問題の数はこなしておきましょう。
プログラミング問題は、計算させる、繰り返し演算するなどを、どの順序でどう計算をするかをまず組み立て、それをプログラムに反映させていく形で取り組むと正解に近付きます。
しかし、この順序立てと計算を間違えるとプログラムに反映させることが不可能になります。
問題の持つ意図と説明をしっかり理解し、正確にアウトプットができるように対策が必要です。
情報通信ネットワークとデータの活用
ネットワークの仕組みやセキュリティに関してなど、インターネットをはじめとした情報通信ネットワークの基礎を学ぶ項目です。
試験に出やすいのは、データの可視化や分析など、データの扱いに関してです。
得られたデータを図や表にしたものから正しい結果を読み解くことや、乱数を用いたシミュレーション結果から考えられるものを導き出すなど、正しく読み取る力が要求されます。
中学数学で学習した四分位範囲や箱ひげ図も登場します。
改めて、中学数学も復習しておきましょう。
情報Ⅰで求められるスキル
小学生からプログラミング的思考を身に付ける学習が始まっていますが、情報Ⅰは小学校や中学校、高校で学んだ道徳、社会、数学を活用する学習に発展していきます。
情報Ⅰで求められるスキルは次のとおりです。
- ・プログラミング的思考
- ・問題の発見や解決に向けて考察する力
- ・考察したものを論理的に組み立てて的確にアウトプットする力
意外にも、プログラミング言語で何かプログラムを完成させる、といったスキルまでは要求されておらず、考えること、組み立てることが最も重視されています。
ただし、その考えること一つとっても他教科で学習した内容が必要です。
2進数や16進数、相関関係や回帰分析など、特に数学は切っても切り離せない科目です。
今まで学習してきたことを思考や考察に生かすことが、情報Ⅰで必要なスキルを得るスタートラインとなります。
まとめ
情報Ⅰの共通テストでは思考力や解決に向けて考察する力を問われます。
しかし、その思考には中学や高校の数学で学んだことを生かす必要があり、数学が苦手であれば情報Ⅰの試験が苦しいものとなるでしょう。
プログラミングや論理回路、フローチャートなどは日頃から問題を解き、慣れておくことが安心材料になります。