これもよくある生徒からの質問。
「数学は考える科目って言うけれど、結局解法を暗記しているかどうかで、問題が解けるかどうかが決まるんじゃないの?数学も結局は暗記科目やん!」
一見正しい意見のようだ。
指導に当たっている講師もほとんどは、数学の経験を積んできているので、結局のところ覚えている知識を使って指導に当たっている。
つまり、暗記じゃん!
このようなことを私に言ってきた生徒は、確かに今までに何人もいました。しかし彼らの共通点は、「数学で点が取れていない」ということ。
【数学の暗記科目の側面】
数学は「暗記科目?」それとも「考える科目?」という2原論では語れません。暗記しなければならない側面もあれば、考えなくてはならない側面もなります。
公式や定義、基本的な問題の解き方など、知っていなくてはどうにもならないものがある。これらの点について注目すれば、数学は暗記科目といえよう。
新しい単元の習い始めや、基礎の定着ができていない生徒にとっては、数学は暗記科目になり得ると思う。
しかし、暗記と言っても、英単語の暗記や漢字の暗記とは性質が異なる。
数学では、暗記事項(公式や計算方法など)の使い方が重要なので、教科書をただ見て覚えるとういうのは、数学の勉強知は言えない。
問題演習をして、公式の使い方、計算方法などを見についけていくような暗記である。
数学の考える側面
数学だけの話ではなく、何か物事を考える時は、必ず考えるための「材料」というものが必要になります。また、考える対象となる「問題」も不可欠です。
この「問題」については、与えられています。
私は大学院で数学の研究をしていたのですが、大学院生や研究者になれば自分で「問題」も見つけていかなくてはなりません。
「材料」については、暗記の部分で自分の身に付けなくてはいけない事柄です。
本来数学とは、この「材料」を使って「問題」を解決していく事です。この部分が数学の「思考」の部分です。
現在の受験生
現在の数学指導については「思考」の部分を省略している状態が教育の現状です。「材料」の部分を身につけることが、数学教育と勘違いしているようです。
市販の参考書や問題集は、「材料」さえ身につければ、答えが出るようになっている。しかもその答えの出し方まで、書かれています。
数学の「思考」の部分は、自分ではなかなか身につけることができない教育システムになっています。
本当の意味で「数学をする」ということ
本来数学をするという事は「問題」を数学の問題と捉え、数学の「材料」を使って、数学としての正しい思考プロセスの下、答えを導くもの。
参考書や問題集の答案に書かれていない、解き方を見つけることである。
他人が書いた答案の猿真似では、数学をしたことにはならない。
こういう意味では、今の受験数学は99%暗記科目といっても過言ではないかもしれない。