「シス単」だけ使って京大英作文を書くと… その2

コラム

コンクリートの建物に囲まれ、機能第一主義の無機質な都会で生活していると、鳥や虫の鳴き声に耳をすませたり、名も知らぬような草木に目をやったりしながら、季節の微妙な移り変わりを実感することがめっきり少なくなってきたように思う。もっと心に余裕を持ち、一回きりのかけがえのない人生をうるおいのあるものにしたいと考えて、田舎に移住することを決断する人が近年増えてきているのも無理からぬことである。

今回も「システム英単語」に載っている表現をなるべく使って英語にしてみよう。

 

コンクリートの建物に囲まれ、機能第一主義の無機質な都会で生活していると、鳥や虫の鳴き声に耳をすませたり、名も知らぬような草木に目をやったりしながら、季節の微妙な移り変わりを実感することがめっきり少なくなってきたように思う。

まず、「コンクリートの建物」はconcrete buildingsでいいだろう。

「~に囲まれ」はsurround「~を取り囲む」⇒ Japan is surrounded by the sea.「日本は海に囲まれている」が参考になる。

「機能第一主義」はどうするか。「機能」はfunction⇒ the basic function of a computer「コンピュータの基本的機能」を使えばいいだろう。「第一主義」は難しい。これに相当する表現は「システム英単語」には載っていないので、工夫する必要がある。「機能を最優先する」と考えてpriority「優先事項」⇒ give top priority to safety「安全を最優先する」が参考になる。

「無機質な都会で生活していると」を考えよう。「システム英単語」にはcity dwellers「都市の住人」という表現が載っているのでこれを使いたい。

「無機質な」は難しい。「単調な」と考えてmonotonous⇒ a monotonous school life「単調な学校生活」を使うのはどうだろう。

「鳥や虫の鳴き声に耳をすませたり」はどうか。「鳥や虫の鳴き声」はchirpだが、当然に「システム英単語」にはない。singには「(小鳥・虫などが)鳴く」という意味があるのでこれを使ってlisten to birds and insects singingでいいだろう。insectはに載っている。現在分詞singingを使っているが、listen toは知覚動詞として原形不定詞singでも文法上はOKだろう。

「名も知らぬような草木に目をやったりしながら」はどうか。

「名も知らぬような」は「システム英単語」に載っている単語だけ使うならばobscure「無名の」だろう。

「目をやったり」にぴったりの表現は何か。ここは中学英語のenjoy looking atで無難にまとめておこう。

「季節の微妙な移り変わりを実感する」をどう言うか。

「微妙な」はsubtle⇒ a subtle difference「微妙な違い」またはdelicate⇒ the delicate balance of nature「自然界の微妙なバランス」が思いつくが、faint「かすかな」see a faint light「かすかな光が見える」も捨てがたい。「移り変わり」はtransition⇒ a seasonal transition「季節の移り変わり」がそのまま使える。「実感する」は中学英語のfeelかrealizeくらいだろうか。

「めっきり少なくなってきたように思う。」はどうか。「めったにしない」と考えてseldomかrarelyを使う。

難しいのは全体の構成だ。極端に長い日本文をそのまま一文の英語にすると逆に英語らしくなくなるような気がする。そこで、僕の解答は、

City dwellers surrounded by concrete buildings lead a monotonous life, giving top priority to functions. They rarely realize the faint seasonal transition by listening to birds and insects singing, or enjoying looking at obscure plants.

もっと心に余裕を持ち、一回きりのかけがえのない人生をうるおいのあるものにしたいと考えて、田舎に移住することを決断する人が近年増えてきているのも無理からぬことである。

「もっと心に余裕を持ち」は日本語になっているrelaxを使うのはどうだろうか。

「一回きりの」はわざわざ言わなくてもいいような気がする。

「かけがえのない」はpreciousまたはinvaluable が使えるのではないか。

「人生をうるおいのあるものにしたいと考えて」は「人生を豊かにしたいと望んで」と考えて、in the hope of enriching their livesが考えられる。enrich⇒ Art enriches our lives.「芸術は人生を豊かにする」はに載っている。

「田舎に移住することを決断する」はdecide⇒ decide to tell the truth「真実を語る決意をする」とmigrate⇒ migrate to California を使ってdecide to migrate the countryと言える。

「人が近年増えてきている」は「ますます多くの人が~する」と考えてmore and more peopleを主語にすればよい。

「無理からぬことである」は副詞reasonablyを使って表現したいが、「システム英単語」にはない。仕方なく形容詞reasonableを使うことにする。そこで、僕の解答は、

 

It is reasonable that more and more people decide to migrate to the country in the hope of feeling relaxed and enriching their invaluable lives.

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